1 Technopolis


脇道音楽堂 〜わたしの一曲〜編集者/柏子見

音楽堂_1

若かりし頃、音楽は生活の一部だった。

ちょうど僕の思春期は、日本の音楽史におけるカンブリア紀だったと思う。
それまでステレオかTV、ラジオだけの物だった音楽が外に飛び出した。
カセットウォークマンやカーステレオのおかげだ。
電話機が携帯になって外に持ち出され進化したように、
聴くシチュエーションが広がった事で、音楽もまた爆発的に増殖していったんだと思う。

もう一つ、僕よりも一回り上の世代の存在も大きかった。
洋楽を聴いて育ったその人達が、オリジナルの日本の音楽を作り始めたのだ。
それを聴いて育ったのが、ちょうど思春期の僕らだった。

そんな世代の人達が作った曲が、僕のこの一曲。

YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の「Technopolis(テクノポリス)」、
「Solid State Survivor」という名作アルバムの一曲目だ。

大学生だった姉のカセットテープには、僕の知らない流行りの音楽がいっぱい入っていて、
それをこっそりのラジカセに入れて聞いていたのだが、ある日なにげなくプレイボタンを押し、
「TOKIO」のボコーダー音声が流れた瞬間、いわゆるカミナリが落ちた。

YMOはとにかく新しかった。

シンセサイザーとコンピュータで演奏するスタイルも、そのファッションも、すべてが新しかった。
音楽とカルチャーが一体化していた時代だった。

他の音楽が何らかのルーツの延長線上にあったのに対して、YMOはそれまでに聴いた事のない音楽だったのだ。
実際にはドイツの「クラフトワーク」に触発された経緯はあったのだが、YMOはよりロックでPOPだった。

もう一つ楽器が出来なく、努力というものを避けて生きてきた僕に、
「そうか、コンピュータにやらせるという手があったか!」と気づかせてくれた事も大きかった。
まあ結局、楽器はコンピュータではなく実際に弾くことになるのだが…

後にデザイン世界にMacが現れ、コンピュータでデザインする際にも、
すんなり受け入れられたのはYMOのおかげだったと思う。
その後も色々な音楽に触れ、何度もカミナリに打たれる事にもなるのだが、今の仕事にも多大な影響を及ばしたという意味も含め、高校生の時に聴いたこの「Technopolis(テクノポリス)」が、この私の1曲なのだ。

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余談だが、今年新卒で入った脇田くんと音楽について話していた時、彼の口からYMOの名前が出たのには驚いた。
今の若い人たちには、古臭い曲に聴こえるのだろうと思っていたので、
まさか自分に近い感覚で聴く人間が、この世代にいたのかとビックリしたのだ。

今期の脇道シリーズのテーマとして、映画や漫画、広告など色々と候補があったのだが、
音楽なったのは、実はこの出来事がきっかけだった。

つまり脇道音楽堂の「脇」は「脇田」の「脇」でもある(笑)
YMOが普遍的なのか?脇田くんがおかしいのか?
これから分かるのではないかと思う。

2018.7.3
柏子見友宏

公開日/2018年07月03日



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