26 傑作から学ぶ 映画技法完全レファレンス


脇道堂書店 〜わたしの一冊〜編集者/柏子見

脇道堂書店_横長タイトル

「自分の絵が動かせられる」ことに興味が湧いた時、たまたまパソコンにFlashというツールが入ってた。
時代はFlashアニメ全盛期。「やわらか戦車」とか、今も大活躍中の「鷹の爪団」蛙男商会などが大ブレイクするちょっと前。
自分も趣味でつくった作品を応募していた。初めて手にしたiPodも、Flashアニメで獲った賞だった。

次第にFlashだけではシンドくなり始め、動画編集にも手を出した。それぐらいのレベルになってくると、単なる趣味であろうともっとスキルを上げたくなる。もっとスキルを上げるには、もっと充実した環境と経験を増やすしかない。それらを確保するには、仕事にも取り入れるのが一番手っ取り早い。ただ、それを仕事でやるとなると、趣味レベルのクオリティでは通用しない。映像の知識なんてない。先輩や友達にそういうことやってる人もいない。

そうだ、本を買おう。

傑作から学ぶ 映画技法完全レファレンス 2002年 フィルムアート社刊 ジェレミー・ヴィンヤード著(訳:吉田俊太郎) ホセ・クルース画

自分は勉強家ではないので「映像とは」なんて基礎から始めるつもりはない。
単純に演出方法しか書かれてない、シンプルなところが気に入ってこの本を選んだ。
目次には演出・効果の名称が只々並ぶばかり。
ズーム、フォーカス、モンタージュ、パン、ティルト、ドリー、メカニカル、トランジション、フレーミング……
こんなんばかり約100項目。プル・バック・リヴィールや、キネティック・エナジーなんて、どこのメキシカンレスラーの必殺技か。

一見謎のワードばかりに圧倒されつつも、本の内容は至ってシンプル。
短い文章と豊富なコンテ絵で、撮影や効果などの演出技術がひじょうに解りやすく書かれている。

誌面1 デザインや絵が古臭いけど2002年刊行

 

誌面2 図の都合で時々ページが横になる

その技術がどの映画のどのシーンに使われているかも挙げられているので、映画をたくさん知ってる人にも楽しめるかも。以下、一部引用。

『ターミネーター2』のラストでは、ドリー・ダウンを使って高速道路が果てしなく続くような印象を演出している(「ドリー・アップ/ドリー・ダウン」の項より)

『Uボート』では、潜水艦が外海に向かって進むときは必ず画面の右方向へ、そして戻ってくるときは必ず左方向へ進行するように撮られている。(「スクリーン・ダイレクション」の項より)

誰も気にしないようなところに、計算された見せ方がある。そういう小ワザをさり気なく使うことで作品の精度が上がるのは、紙やWebのデザインにも言えることだと思う。

専門的なジャンルだけに「どなたにもおススメします」とは言い難いけれど、この本を一読しておけば家族のホームビデオを撮るだけでも、ちょっと面白い画作りができるんじゃないかなと思います。興味があればどうぞ。

2018.1.10
小倉賢治

公開日/2018年01月10日



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