21 テトラスクロール


脇道堂書店 〜わたしの一冊〜編集者/柏子見

脇道堂書店_横長タイトル

80年代初頭、時は空前の科学雑誌刊行ブーム。
Newton(ニュートン)を皮切りに オムニ、クオーク、ウータンと矢継ぎ早な創刊ラッシュが続きました。

私がちょくちょく購読してた推し雑誌は旺文社の『OMNI』(オムニ)。
本家がアメリカ版ということもあり、他誌と比べ頭一つ抜けたセンスの良さで、
ウイリアム・ギブスンなどSF作家の本邦初訳になる短編小説も掲載されてました。

そんな折、現代のダビンチとも称される知の巨人の訃報が届きます。
今回紹介する本の著者、バックミンスター・フラーその人です。

フラーの業績は多岐にわたるので、ここに書き連ねるのは控えます。
「フラードーム(ジオデシック・ドーム)」「宇宙船地球号」「シナジー」等は割合メジャーなところなのでご存じの方も多いかと思います。
ご興味のある方はウィキペディアをご参照ください。(※1)

フラーが亡くなった当時、彼の事は全く知らなかったのですが、前述のオムニで追悼特集が組まれました。
それが私のファーストコンタクト。
以降、何冊か著作・関連書籍を買い漁りました。

『テトラスクロール』めるくま-る社 (1985/01) バックミンスター・フラー著

断捨離なんて言葉が流行るずっと以前から、要らないものはおろか要るものまで処分してきて、現在手元に残ってるフラー関連の書籍は、今回ご紹介する
『テトラスクロール』めるくま-る社 (1985/01)
この1冊のみとなります。

この本は彼が晩年、自身の紡いできた独自の科学・数学体系、あるいは思想や人類史といったものをまとめた「絵本」です。
娘に読み聞かせる絵本という体で書かれていますが、正直難解な部分が有るのは否めません。
しかしながら、自身の集大成ともいえる書籍を絵本にするというスタンス自体が、常識に囚われないフラーらしいなと感じずにはいられません。

ちなみにこの絵本。
本国アメリカの初版では、フラーお得意の三角形を用いた多面体構造(※2)をしており、書籍の常識である四角形でもなければ平面にもとどまらず、どこから読んでもかまわないという代物だったとか。

フラーの死後、30数余年。
人類という宇宙船地球号の乗組員(クルー)は、彼の思い描いた理想にどれだけ近づく事が出来たのでしょうか。
近郊のナゴヤドーム(※3)を見るにつけ省みる2017年の晩秋です。

2017.11.29
森 秀樹

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※1:今回調べ直して『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊司令室にフラーのダイマクションマップが貼られてたのを知りました。
※2:正確には出版ではなく、1辺36インチの正三角形ページが26枚連結されたブック・オブジェとして制作されました。
※3:天蓋が単層ラチスドーム構造、ジオデシック・ドームの一種。

公開日/2017年11月29日



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